アタリしか引かない。

※全てフィクションです。エロと精神とらぶ。

カワイイカワイイ君の使い途はない。

ごめんね。わたしは今の今まで「男性」に出会ったことは一度もなかった。だいたいが「男の子」「少年」だった。(たまに「女の子」もいた)「男の子」に年齢は関係ない。こういうと悪趣味だけど。男の子たちはカワイイ。カワイイだけに何にもならない。どこにも行けない。だからわたしはただ、彼らには肉体を明け渡すことしかできず、なにかを与えることもできなかった。そんなのはおこがましい。「何もできなくてごめん」とお互い言い合って別れたこともあった。

大体の男の子は会っている間中、わたしを家やホテルに閉じ込めたがった。一日でも二日でも時間の許す限り。もっと言うと車でも裏路地でも閉店後のバーでも別荘でも人気のないスタジオ、オフィスでも寝ている友達の横でもわたしを可愛がって寝ることを望んで、そうした。わたしは一切拒まなかった。服を着ているよりも脱いでいる時間の方が圧倒的に長い。「早くしたい」「毎日抱きたい」「朝から朝までしよう」と出会った男の子のほとんどに言われる人生。どれだけ床上手なんだよ。

寝れる男の子とは全部寝た。即座に寝た。スキあらば抱かれた。あまりにもな速さで体を明け渡すから辻斬りと言われた。呆れられて。(まじの話だよ。)(修行のように男の子と寝てるから宮本武蔵かよとも言われた。宮本武蔵がどんな人かは知らないが。)

男の子。男の子ね。男の子は男の子であって男性ではないので、一緒に何かをしなきゃいけない気がして、でもそんなものはなくて行き詰まることしかやることがない。消費期限の後の、セオリー通りのクラッシュ。それはそれで美しいけど大概悲惨で、男の子はわたしに腹を立てていて、わたしは何をしてあげたらいいかさっぱりわからなくなって元には戻らなくなる。彼らがどうなろうが、わたしと離れたことで幸せになるんなら別にいい。

男の子が本当の意味で男性になれるかというとわたしにはわからない。わからないし、たぶん無理だろうなという気がしている。男性は自立/自律していて自恃があるが、そんな人は大変稀な存在であるし…。第一男の子自身は自分のことを男の子だなんて思っていないし。一人の男として女を好きになって精一杯の愛を向けたと思っているし。それくらいは汲みたいけど、そこに配慮してしまうのは良くないことだからしない。本当のことをごまかしてはいけない。

カワイイ男の子は胸に来て切なくなるけど、何をしてあげたらいいかはわからない。彼らは何もしていないから。彼らのためにわたしができることは何もないとはっきりわかる。できることがないからセックスしかすることがない。すっきりしてるね。でももういいかな。それはわたしにとって要らないんだとはっきりわかった。それに感けてるとくすみそうになる。

ある男性が本当に値打ちのある女だと言った。幼馴染のいかれデザイナーもいい女になったねと言った。わたしはその言葉を裏切りたくない。それをすべての原動力にしてどこまでやれるか試したい。カワイイカワイイきみたちのこと好きだったけど、何にもならなかった。何にもならなかったから好きだった。行き止まりで恋をしあったけど、結局のところ無限の美しさは生まれなかったごめん。

 

2019.12.13追記

カワイイ男の子ってまじで使い途がないよなあ。それがちゃんとわかるまで10年以上かかっちゃった。