アタリしか引かない。

※全てフィクションです。エロと精神とらぶ。

色彩の子

わたしは「あれ」を求め続けているのかもしれない。あれには大体ものすごい色が付いている。色が付いているというより、純粋な色彩のなかに入れてもらえるあれ。畏れながらも焦がれてしまう。今まで生きていてそう易々と何度も訪れたわけではないけど、でもあれはあれとしか言いようのない時間で、いや時間が流れていたのかも今となっては怪しい。時間軸のないエアポケットに放り込まれる。あるいはなにかの気まぐれ。

そこに一緒に入れてもらえた人のほとんどは今そばにいない。どこかでなんとか生きているとは思う。わたしの方はあれだけを追い続ける。もしあの時一緒だった人に会ったら(会うことはないとわかっているけど)、わたしはあの時の続きだけを追い求めて生きてるよと話したい。あなたは離脱せざるをえなかったけど、あれは嘘じゃなかったよと言ってあげたい。それでその人に安息が訪れることはないだろうけど。(むしろ追い詰めることになるかもしれない)でもそれならそれが、その人の人生なんだと思う。実績と含蓄のみを信じる人たち、もしくは、それだけをやりたいわけじゃないのにそうするしかすべを持たない人たち。人それぞれの人生。

わたしはあなたのことが好きで、同時に心底どうでもよく、全然興味がない。干渉を仕掛けないためには対象を放っておくしか方法はない。対象として認識すべきではないのかもしれない。なにかを愛するには、好奇心と興味を殺す必要がある。