アタリしか引かない。

※全てフィクションです。エロと精神とらぶ。

アドレナリンセックス

もうそろそろ書いておきたい。だいぶ忘れてきて、いい感じに美化されてきたから。
 
映画を撮るとしたら、わたしはこの一年半のことを撮る。
 

一昨年から去年にかけて、高校生の恋人がいた。初めて関係を持ったのは彼が16歳のときだった。それはもう蜜月と呼ぶにちょうどよい濃度だった。

 
いま思えば本当に麻薬のような関係で、毎日のように会っては酒煙草酒酒煙草酒酒セックスセックスセックスと、とんでもない生活を送っていた。
でも若さ故なのか、彼には他の追随を許さない圧倒的な清潔感があって、どんなに爛れていても退廃的になるだけで美しかった。
本人はそれに全く頓着していなくて、わたしはそこが大好きだった。
 
セックスも最高だと思っていた。
でも彼と会った次の日は地獄だった。
終わったそばからもう欲しくなって、自分が本当に性にだらしなく感じられて嫌だった。セックスは苦痛を伴うことが多くて、顔を叩かれたり背中や腕が傷だらけになったりした。意識がなくなる寸前まで首を絞められることもあった。
すぎた刺激は中毒になる。
 
初めは彼はわたしに夢中で、でも悲しいことにだんだんそれが薄れてきて、最後にはお互いに優しくする気も無くなった。
わたしは彼の人間性に惹かれたのではなくて、若い体と清潔感と孤独なところが好きなだけだった。
当たり前ながら、最初と最後のセックスがとても印象深く、一生忘れられないものとして遺った。
それ以外は、惜しみなく愛は奪うというか、惜しみなく恋は奪うというのを身をもって知った。理由のすべてを焼いて、消耗し尽くして荒地になってしまった。
 
最初と最後だけお互い素直になれて、本当に恋人らしいことができた。それだけでもわたしは彼との蜜月を過ごせて幸せだった。
 
2016-6-21追記。
この男とは月一くらいで会ってはいる。お互いに恋人はいるけど、友達として節度を持って気をつけながら会っている。
別れてすぐ会った時に一度キスはしたけど(そしてそれはもう細胞ががっちり握手してるのような心地なキスだったけど)。
昨日も会って、夜遅くまで話しこんでいた。二駅先で落ち合って、飲酒しほろ酔い、外のベンチに座って長々と。
わたしには、隣にいる男と無意識に手をつなぐという悪癖があるから、歩いてるときは腕を組んだ。
 
追記2
このとき作った短歌とか。以下。
のびきったパノラマみたいにするようにしたくはないからおわりにするね

何味か思い出せないチューイングガムを吐き出し踏みつけてゆく

青春を捧げてるって言っていた。あの時ほんとは死ねばよかった。

恋人と呼ぶにはあまりにつたなすぎ、触れてくる手指だけが大人で。

満月じゃない夜だった確かそう。なのに狼男が出たの。

マンションの十三階段座ったら処刑されたのあの日あなたに。

満ち潮と引き潮の間なんてない。君がそういう人だったなんて。

約束をお互い守る性質じゃないことくらい百も承知で

喉元に切っ先を突きつけてやるときの瞳の輝きがみたい

粘膜が渇く隙なんて与えないで。濡れてなきゃわたし生きてゆけない。

わたしがいなくても大丈夫でしょ。だって大人になったんでしょ。

ひとりでに大人になってしまったな。導くことなんてできやしないのに。

タイダイに染められたティーシャツと黒いワンピースにみる未来の暗示

名の通り遠くより来て
嵐のような口づけして去る
 
 
2016-9-4
久しぶりに再度寝てみて、あの頃は体も心もぴったりはまっていたんだってことが鮮明に思い出されただけだった。
昨日まではどこかでその幻想みたいなものを追っていたけれど、それもなくなった。昨日寝てよかった。
裸でベッドに入って、何もする気がなかったからくっついて寝ようとしたら、今日だけこうさせてと抱きしめられて、それがあんまりにも弱々しく見えたから抱き合って見つめ合っていたら、額、まぶた、鼻、頬とキスが落ちてきて、いつの間にか唇と唇が触れあってたていた。
 
同情心から寝たのではなく、慰めたかったから寝た。
本当は幻想を手放したかった。
結果オーライね。でもまた泣かせちゃった。必要だと思う言葉をかけてたら涙がぽろぽろこぼれていて、抱きついてきたのは可愛かった。

(どこも連れて行かなかったねと言われて、どこかに行かなくても二人でいるだけで楽しかったと答えたけど、それは本心。)